Fidelio - NHK

bunkamura.co.jp
August 2019 

世界最高峰のキャストで聴く!!
ベートーヴェンが時代を超えて語りかける、愛・自由・正義のメッセージ

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)にとってオペラは、宮廷の娯楽的なものではなく、彼の思想をメッセージとして発するための創作であった。そして生涯で唯一完成させたオペラが《フィデリオ》である。託されたメッセージは、彼が何よりも大切にし、有名な「第九交響曲」でも表現した愛・正義・平和、そして自由。


ベートーヴェンの理想の女性像だったのではないかと言われる主人公レオノーレは、勇敢にも男装して愛する夫を牢獄から助け出す強さを見せる。
本作品は、より高次の芸術へと飽くなき探求をするベートーヴェンにより何度も改訂され、1805年の第1稿初演から8年半後の1814年5月に決定稿にいたるまでに、コンサート等でも単独で演奏される名曲「レオノーレ序曲第3番」も出来上がった。今回パーヴォは、この有名な序曲も入れて演奏をする。世界最高峰の歌手達の歌唱に加えて、まさに一つの聴きどころであろう。
また、エンディングの合唱は「第九」と同様、愛と自由を讃える歓喜の歌とされており、時代を超えて、最も大切な人生の真髄を感じさせてくれる瞬間となるに違いない!
パーヴォ・ヤルヴィとN響によるオペラ・コンチェルタンテシリーズ第1弾『ウエスト・サイド・ストーリー』

Storyストーリー


貴族フロレスタンは、この地域を治める総督であり刑務所長も務めるドン・ピツァロの政敵であるため2年以上も投獄されていた。フロレスタンの妻レオノーレは、夫を救うため男装しフィデリオと名乗って、刑務所看守長ロッコの部下として潜入する。レオノーレを本当の美青年と思いこんだロッコの娘マルツェリーネは恋心を抱き、マルツェリーネに思いを寄せ続けてきた刑務所門番ジャキーノは、それを見て心中穏やかではない。


レオノーレは潜入した牢屋で囚人を一時日光浴させるよう進言したりと、仕事をしながらも、ついに秘密の地下牢に繋がれた夫に辿りつく。しかし同じ頃、大臣フェルナンドの査察が入ると知ったドン・ピツァロは、非合法な政敵の収監が明るみに出る前にフロレスタンを葬ってしおうと画策していた。短刀を構えてついに現れたドン・ピツァロの前に、男装したフィデリオとして、妻レオノーレは身を投げ出す。まさに危機一髪、あわやというところでラッパが高らかに鳴り響く・・・!


Cast出演者


©Julia Baier


指揮
Paavo Järviパーヴォ・ヤルヴィ
(N響首席指揮者)


2015年からN響の首席指揮者。彼自らが「最高の作曲家の中の最高」とするベートーヴェンの《フィデリオ》は、彼の十八番。同じくドイツ音楽を得意とするN響と、相互の厚い信頼の下にこれぞ決定版という演奏を繰り広げるに違いない。 1962年エストニア生まれ。指揮者のネーメ・ヤルヴィは実父。シンシナティ響、フランクフルト放送響、パリ管などの首席指揮者や音楽監督を歴任。ベルリン・フィルなどの一流楽団に客演。現在はN響のほか、ドイツ・カンマーフィル、エストニア祝祭管弦楽団の芸術監督を兼務している。2019年秋にはチューリヒ・トーンハレ管の音楽監督に就任する。世界が注目するマエストロ。




ドン・ピツァロ
Wolfgang Kochヴォルフガング・コッホ


ドイツ・オペラの至宝、待望の再来日!

ドイツ・バイエルン州出身。現在、最も重要なバス・バリトンの一人。バイエルン国立歌劇場、バイロイト祝祭劇場を含む、世界最高峰のオペラ・ハウスで重要な役を任されている。特に2013‐15バイロイト音楽祭のキリル・ペトレンコ指揮「ニーベルングの指環(ワーグナー)」にて「現在最高のヴォータン歌手」との名声を確立。そしてまさに今年(2019年)1月、ミュンヘンにて再上演された注目のペトレンコ指揮「フィデリオ」に、2010年同劇場での新演出初演以来務めているドン・ピツァロ役で出演。劇場を深い感動で包む歌唱と演技で喝采を浴びた。本場の旬な歌声を日本で堪能できる貴重な来日となる。



©Harald Hoffmann


フロレスタン
Michael Schadeミヒャエル・シャーデ


フロレスタン役で伝説の大成功の、スーパー・スター!

世界の主要歌劇場及びコンサートホールの殆どを制覇しているドイツ系カナダ人のテノール。力強さと繊細さを併せ持つ歌声で、モーツァルトのオペラの主要な役の殆どに加え、R.シュトラウスやドヴォルザークまで幅広いレパートリーを持つ。そしてニコラウス・アーノンクール指揮の下に初めて歌った《フィデリオ》のフロレスタン役は観客・批評家満場一致の大喝采を受け、彼の重要なレパートリーとなった。2007年オーストリア政府よりカナダ人として初の「宮廷歌手」の称号を授与されている。



©Bo Huang


レオノーレ(男装時:フィデリオ)
Adrianne Pieczonkaアドリアンヌ・ピエチョンカ


世界中の歌劇場で観客を虜にするディーヴァ

1988年にデビューしたカナダ人ソプラノ。91年にはウィーン国立歌劇場のメンバーとなり欧州でのキャリアを積んだ。その後はメトロポリタン・オペラ、ロイヤル・オペラハウス、パリ・オペラ座、スカラ座など世界の超一流劇場でワーグナーやR.シュトラウスの強い女性の役をロマンティックに歌えるソプラノとして華々しい活躍を続けている。最近では、昨年(2018年)秋、パリ・シャンゼリゼ劇場でのオペラ「フィデリオ」(同役)出演で大喝采を受けた。勇敢なレオノーレはまさにハマり役。



© Marion Küll


ロッコ
Franz=Josef Seligフランツ=ヨーゼフ・ゼーリッヒ


世界の巨匠達の信頼厚いバス

非常にシリアスな役柄を得意とする希少なバス。そのため世界の主要な歌劇場の上演において、グルネマンツ(パルジファル)、マルケ王(トリスタンとイゾルデ)、ザラストロ(魔笛)、ロッコ(フィデリオ)、ダーラント(さまよえるオランダ人)などの役には欠かせない存在。2018年3月バーデンバーデン祝祭歌劇場において、サイモン・ラトル指揮のベルリン・フィルによるオペラ《パルシファル》上演での素晴らしいグルネマンツ役が記憶に新しい。



© FBroede


マルツェリーネ
Mojca Erdmannモイツァ・エルトマン


その美声と非の打ち所のない芸術性により、批評家から賞賛され、瞬く間に国際音楽シーンでライジングスターとなる。
2006年にモーツァルト《ツァイーデ》(ボルトン指揮)でザルツブルク音楽祭にデビュー。07年、09年にはハイドン《アルミーダ》で再登場。2014年には新作の《ばらの騎士》(ウェルザー=メスト指揮)のゾフィーで出演している。メトロポリタン・オペラには、2011年に《ジークフリート》の森の小鳥、および新演出の《ドン・ジョヴァンニ》のツェルリーナでデビューし、翌年《フィガロの結婚》のスザンナで再登場。ミラノ・スカラ座には《フィデリオ》(バレンボイム指揮)のマルツェリーネで2014年にオペラデビューを飾っている。
極めて多彩なレパートリーを持ち、現代音楽作品の歌い手としても人気を博す。ベルリン国立歌劇場の武満徹《マイ・ウェイ・オブ・ライフ》世界初演(ケント・ナガノ指揮)で同歌劇場にデビュー。2009年にはヴォルフガング・リームのモノドラマ《プロセルピナ》のタイトルロールを歌う。また翌年リーム本人より新作オペラ《ディオニュソス》のソプラノの主役の指名を受け、2010年ザルツブルク音楽祭で世界初演を行っている。2012年にはベルリン国立歌劇場でダニエル・バレンボイム指揮《ルル》のタイトルロール・デビューを果たし、大成功を収めた。そのほか、バイエルン国立歌劇場にてスルンカの新作「南極」にハンプソン、ヴィラゾンとともに出演(2016年)。2017年にはヤンソンス指揮バイエルン放響によるリームの新作《Requiem Strophen》 初演に出演し、2018年1月にはハンブルク州立歌劇場にて細川俊夫の《海、静かなる海》のクラウディア役で登場。
コンサートではラトル、アーノンクール、ボルトン、ナガノ、ルイージ、ハーディングなどの著名指揮者と頻繁に共演している。




ジャキーノ
Jun Suzuki鈴木 准


北星学園大学文学部を経て東京藝術大学卒業。卒業時松田トシ賞、アカンサス音楽賞受賞。
同大学院にて音楽博士号取得。三菱地所賞受賞。
『コジ・ファン・トゥッテ』フェランドで二期会デビュー。同公演の文化庁芸術祭大賞受賞に寄与した。
近年では兵庫県立芸術文化センター『セビリャの理髪師』アルマヴィーヴァ伯爵、びわ湖ホール『死の都』主役パウル、新国立劇場『沈黙』モキチ、『夕鶴』与ひょう、『フィデリオ』ヤッキーノ、日生劇場『後宮からの逃走』ベルモンテ、神奈川県民ホール『金閣寺』柏木等に出演。
とりわけ『魔笛』タミーノは日生劇場、兵庫芸術文化センター、二期会をはじめ多くのプロダクションで演じており、近年だけでもリンツ州立歌劇場との共同制作による二期会公演、新国立劇場公演、愛知トリエンナーレ、神奈川県民ホール・iichiko総合文化センター・二期会・神奈川フィル共同制作公演、よこすか芸術劇場公演等、上演において不可欠な存在である。 コンサートでも、J.S.バッハ「マタイ受難曲」福音史家、ヘンデル「メサイア」、モーツァルト「レクイエム」、ベートーヴェン「第九」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」など数多くの公演に出演。またバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーとして、国内外の多くの公演・録音に参加。
ブリテンの作品をライフワークとし、「カーリュー・リヴァー」狂女役をロンドンとオーフォードの教会で演じて国際的評価を得、KAAT「隅田川二題」公演では同役を故・若杉弘による日本語訳で演奏。2018年には東京・春・音楽祭「ベンジャミン・ブリテンの世界Ⅰ、Ⅱ」で好演。
作詞家松本隆氏の厚い信頼を得、15年には松本氏の現代口語訳による「冬の旅」を、18年にも「白鳥の歌」をリリースしている。
二期会会員。



©Simon Pauly


ドン・フェルナンド
Takaoki Onishi大西宇宙


武蔵野音楽大学及び大学院卒業。全日本学生音楽コンクール第1位及びイタリア声楽コンコルソ金賞・バリトン特賞を受賞後、ジュリアード音楽院大学院に留学。
2015年、シカゴ・リリック歌劇場の世界初演「Bel Canto」に出演し、アメリカでプロ・デビューを飾り、各新聞社、雑誌から称賛を得た。
2018年まで同劇場の研修機関に所属し、「ロミオとジュリエット」、「エフゲニー・オネーギン」、「カルメン」、「真珠とり」、「清教徒」、「リゴレット」などに出演。アメリカのOpera Newsでは特集記事も掲載された他、「次世代期待のオペラ歌手15人」の1人として紹介された。
日本ではプレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団「イオランタ」(コンサート形式)、高関健指揮「戦争レクイエム」等を共演し、いずれも高評を得た。
2018年12月、プレミアオペラ財団国際声楽コンクールで優勝。
カーネギーホールで行われたニューヨーク・オラトリオ協会の公演で「カルミナ・ブラーナ」「クレルヴォ交響曲」等で出演し、2020年には「ドイツ・レクイエム」で共演予定。2020年にはノースカロライナで「道化師」、フィラデルフィアでは「蝶々夫人」に出演予定。 第30回五島記念文化賞 オペラ新人賞受賞。

公式ホームページ https://www.takaokionishi.com/ 



©K.Miura

NHK交響楽団


NHK交響楽団の歴史は、1926年にプロ・オーケストラとして結成された新交響楽団に遡る。その後、日本交響楽団の名称を経て、1951年NHK交響楽団と改称。今日に至るまで、カラヤン、アンセルメ、カイルベルト、マタチッチなど世界一流の指揮者を次々と招聘し、歴史的名演を残している。
近年N響は、年間54回の定期公演(NHKホール、サントリーホール)や昨年第100回を迎えたBunkamuraオーチャードホールでの定期公演をはじめ、全国各地で約120回の演奏活動を行っている。また、2013年8月にはザルツブルク音楽祭に初出演、2017年春にベルリン、ウィーンをはじめ、ヨーロッパ主要7都市で公演を行うなど、その活動ぶりと演奏は国際的にも高い評価を得ている。
現在N響が擁する指揮者陣は、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィ、名誉音楽監督シャルル・デュトワ、桂冠名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテット、桂冠指揮者ウラディーミル・アシュケナージ、正指揮者 外山雄三、尾高忠明。

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